事実上のアウト

勝てた試合を落としたというより、勝てなかった試合を落としたと表現した方が適切に感じた。決定力不足、何より、オフェンス陣の動き出しが少なく、前線ではボールが巧く回せない。



前半は、クロアチアが優性に進める。スルナの所から徹底的に仕掛けていた。やはり、三都主のところは狙われる。相変わらず守備は危なっかしいが、それでも、この試合においては、攻撃面では頑張っていたし、長い距離を何度もアップダウンをしていたのは評価したい。1番の穴になってはのは宮本だね。ハイボールをバウンドしてから処理しようとしたり、パスミスはするし*1…。PKのシーンなんかは、プルソに体を寄せられてた部分はあるけど、バウンドするのを待ってから処理しようとした結果だし、その後の対処の仕方もテンパッてた印象を受ける。


ただ、川口は当たってたし、中澤も良い守りを見せてくれた。加地も攻守に頑張った。三都主だって危なっかしかったけど、以前よりは軽さはなくなってういたと思う。それだけに、攻撃陣がふがいなかった。


FWの動き出しもそうだが、攻撃的MFの2人がゴール付近での仕事の量が少なすぎた。相手は前掛かりになっていたけれど、切り替えは早く、日本は速攻が仕掛けられない。なので、遅攻しか出来ず、その遅攻もオフ・ザ・ボールの動きの少なさ&数的不利な状態が多く、繋ぐだけで精一杯。要所でゴール前まで持っていけたけど、崩しきれていなかった。


俊輔も、小笠原も引いて貰ってからビルドアップしていて、福西と中田英がポジションチェンジをして上がるでもなかったので、前にはパスコースなどほとんどない。前半は、リスク回避でもいいとは思ったけれど、あまりにも回避しすぎ。試合のほとんどはクロアチアが優性に進めていたので、攻撃のときに慎重になりすぎていたのだろうか…。


この展開は想定内。だが、後半はどこかで必ず捨て身になって攻めなければならなくなる。その時、選手交代も含めた采配が鍵を握るはずだった…。


後半のアタマに福西に代えて稲本を投入。ミドルシュートや後方からの攻撃参加などが持ち味の選手だけに、このチョイスは悪くないように感じた。福西も攻撃的な選手ではあるが、他のMFが皆攻撃的MFであるため、攻撃参加を自重していた感はあるので、この交代は妥当にも感じる。


玉田の交代にしても、今回はジーコは早く手を打っていたが、稲本はともかく、玉田、大黒の交代は失敗だった。意図としては悪くないけど、玉田にしても、大黒にしても、足元で貰うのではなく、裏へ抜ける動きをした方が効果的。2人とも小回りが効くし、スピードもある。相手DFはスピードがなかったので、足元で貰うよりは、裏へ抜け出した方が良いに決まっている。しかも、後半は運動量が落ちていた。これは、双方に言えることだが、代わった選手は、スタメンの選手よりも動くべきなのだ。運動量は充分だし、疲れてる相手をさらに疲れさすには、途中出場した選手にかかっているのに…。


玉田も大黒もそれを考えれば、この試合では失格だよ*2。終盤は、ボールを奪ってもカウンターにいけなかった。攻撃のときに、最後の踏ん張りが効かなかったね。三都主くらいじゃない? 頑張って走ってたのは。後は疲れてて動けない。あそこは無理してでも走るべきだったと思うけど…。


で、結局スコアレスで机上の上では可能性は残されているけど、事実上は敗退が決定した。だって他力本願だらけで条件が一致して初めて決勝トーナメント進出…。首の皮1枚だけ繋がっている状態…。


クロアチアにとっても良い結果ではなかったけれど、最終戦にブラジル相手に2点差以上で勝って初めてクロアチアvsオーストラリアの結果を気にする状況の日本よりはずっとマシ。この試合は勝っておきたかった…。


ところで、昨日の試合終了後、拍手している日本人サポの顔がカメラに映し出されたけど、それ見て、何で笑顔振り撒いてるんだ?とか、否定的な意見がチラホラ出てるけど、んなもん個人の自由じゃねぇかと思う。例えば、俺は日本代表が前回以上の成績、ジーコに至ってはベスト4を目標に設定していたし、黄金世代と呼ばれるシドニー五輪の世代がキャリアのピークを迎える時期の開催で、少なくとも前回以上の成績を望める可能性を秘めた大会だったので、その可能性を大きくして本大会に挑んでもらいたかった。にも関わらず、4年前よりも組織の面では退化した状態で、監督の珍采配も見られる状態に腹が立っているわけだが、人によって捉え方はそれぞれ。まだ日本サッカーは歴史が浅いから強いクロアチア相手に引き分けたのは大健闘と捉える人だっているだろう。あの態度を否定しちゃいかんよな…。これなんかは露骨にそれを否定してる。多分、こいつはサッカー素人。お前が考え直せ、アホ


採点してみよう
GK 川口能活 7 バックパスを後ろにソラしたのは焦ったが、それ以外はファインセーブも見せたし、味方を鼓舞していた。
DF 加地亮 6 攻守に渡って奮闘。
DF 中澤佑二 7.5 空中戦では競り負けることなく、体を張った守りで日本の守備陣を支えた。
DF 宮本恒靖 4.5 とにかく酷いの一言。ルーズボールのケアは甘いし、対人プレーは相変わらず弱い。
DF 三都主アレサンドロ 6 守備は相変わらずだけど、攻撃面では少なからず貢献してたと思う。ドリブルは通用してたし、何より、90分間走り続けたことは評価したい。
MF 福西崇史 5.5 守備に追われる事が多く、また、それを1人でケアしきれない部分もあった。
MF 中田英寿 6 前半はミドルを狙うなど、攻撃にアクセントをつけようとしてたが、後半はミスパスも目立った。俊輔や小笠原が引いてボールを貰ってた時には、上がっても良かったとは思うけど…。
MF 小笠原満男 5.5 前で仕事をする回数が少ない。引いて貰ってビルドアップするだけでは、攻撃にアクセントはつけられないよ…。
MF 中村俊輔 5.5 以下同文。小笠原よりは、キープは出来ていたけれど、パスすることしか頭になかったかのようなプレーだった。
FW 高原直泰 5.5 幅広く動きいてはいたけど、シュートに絡む動きが少なすぎ。
FW 柳沢敦 5 あの決定的なシーンをフイにしたことはショックだけど、それだけで戦犯にするのは酷というもの。問題はトータルでシュートに絡む回数が少なすぎるとこだと思うよ。持ち前のスペースへの動き出しもいまひとつで、良いとこなしだった。
MF 稲本潤一 6 後半のアタマから出場。攻守に奮闘。
FW 玉田圭司 5 後半の途中から登場。1度だけ、スペースに抜け出してチャンスに絡んだが、それだけ。後は消えてる時間が多い。暑さで消耗している選手が多かったので、頑張って動いてほしかったんだけど…。
FW 大黒将志 - 出場時間5分程度。なので採点不可。ただ、スペースに飛び出す動きがあまり見られない。時間の関係もあるんだろうけど…。もっとがむしゃらに動いても良かったのでは?

*1:パスミスは他の選手もしてたけど

*2:大黒は出場時間すら短かったけれど、それでも5分くらいは出れたんだから、その5分を走りまわって欲しかった。2人ともゴールを狙って動こうとしていたんだろうけど、動き回っていれば、中盤が空くからミドルももっと狙えただろうし、サイドが頑張って走っていたんだから、それを活かす意味でも動いてスペースを作った方が良かっただろう