準々決勝雑感

まとめて



ベスト8で敗れた4ヶ国のうち、戦力的に厳しいウクライナを除けば、勝ち残った国と比べてもタレントレベルで劣っていたとは思えない。どう考えても監督の采配が失敗しているという部分が大きいと思う。結果論なんだけど。


  • アルゼンチンの場合
    残り20分くらいある段階で主軸のリケルメを下げてカンビアッソを入れ、守りに気を使ったことが失敗だった。守りに入ることが悪いからではなく、まだ20分も残っていたということ、その段階で司令塔を下げたというのが問題。アルゼンチンは、リケルメ中心のパスサッカーをしていて、それ以外のオプションはない。リケルメと心中するしか生きる道はないのに、その道を自ら放棄してしまった。それでは勝てるわけがない。クルス投入は多分、セットプレーでの守備も気にしたんだと思う。攻撃的に行くにも要となるリケルメはいないし、速さのないドイツDF陣との相性を考えたら、サビオラかメッシーの方が適任。守りきれなかった時点でアルゼンチンの負けだね。GKもPKに強いアボンダンシエリが負傷退場してしまったし。


  • イングランドの場合
    試合中の采配というよりは、メンバー選考の時点で、第4のFWを代表どころかプレミアでの出場経験のないウォルコットを選んだことが間違い。入れるなら、FWを5人にしてデフォーなりダレン・ベント辺りを入れるべきだった。ルーニーが大会前に怪我をして、オーウェンも万全ではなかったのだから、FWに保険を入れておかなかったことが結果的に響いた。


    オーウェンが離脱した後のメンバー選考もおかしい。ルーニーは1トップには向かない。2トップで使ってこそ活きる選手だ。1トップならクラウチでいくべきだろう。FWをベンチに残して切り札として使いたいという意図もあったかもしれんが、ウォルコットを抜擢する度胸もないのに、FWを実質3人だけしか選ばないとう意味が解らん。しかも、戦術は良く言えば手堅いチーム、悪く言えばスペクタクルの欠片もない退屈なチームということになるが、CBは質・量申し分なかったものの、中盤のセンターの2人、ジェラードとランパードは攻撃的な選手であり、守備的なタスクが多かった感じは否めない。コンビとしてもいまいち。FW顔負けの得点力を2人とも兼ね備えているのだから、もっと攻撃的なチームにしても良かったのに…。CBは固いんだしさ。


  • ブラジルの場合
    ブラジルも、手堅い試合運びしかしていない。過去最高ともされるタレントが攻撃陣に集まりながらも、彼等の個性ではなく、守備を重視した結果、前線の選手達が輝かなかった。フランス戦は、ロナウヂーニョをFWとして使い、ロナウドとコンビを組ませたものの、前で張っているわけでもなく、引いて貰ってそこから仕掛け様としていたので、ロナウドが孤立。動かないFWの実質1トップ。これでは前にボールが集まるわけがない。後半にアドリアーノを出してロナウヂーニョを本来のポジションで起用したものの、時既に遅し。フランスの集中した守りを崩すことが出来ず。


    イングランドも、ブラジルもチームのポテンシャルを活かせていたとは言いがたく、アルゼンチンは監督に問題あり。この3チームは自滅して大会を後にした感じだね。


  • ドイツ
    不安視された守備陣が大会を通じて成長。若い選手が多いだけに、経験を積めば伸び代はあるだけに、そこが解消されれば開催国のアドバンテージも加わって優勝も狙える。ただ、バラックの状態が気掛かりだけど。


  • イタリア
    守備陣は絶好調。攻撃陣はいまひとつながら、トニがウクライナ戦で2ゴールを奪取。これを機に調子が上向けばかなり怖い。トラップ時代のようなチキン采配も見られず。ただ、ネスタの怪我は心配。カンナバーロガットゥーゾを中心とした守備ブロックは強固ながら、マテラッツィのラフプレイ*1が怖い。ただ、気になるのは何でピッポは冷遇されてるんだろうか?ということ。少なくともヤクインタよりは良いと思うんだけど…。シーズン終盤が好調だっただけに、もっと出番をやっても面白いと思うのだが。FWはその時の勢いも必要だし。


  • ポルトガル
    デコ、コスチーニャが出場停止ということで、負けるとばかり思っていた。主力の不安要素は少なくない*2し。しかも、デコが欠場ということで、攻撃陣への影響が懸念されてた。それは試合でも出てたけど、サイドから良い崩しができていたし、イングランドの引き篭もり戦法*3もあって、ボールは支配できていた。マニシェのミドルが多かったのはそのたねだろう。でも、相手守備陣を引きずり出すことは出来なかった。


    結果はPKでの勝利だったけど、リカルドが大活躍。PKを3本も止めた。リカルドPKに強いね。PKは運よりも試合の勢いが大きく左右するので、どちらかといえば消極的だったイングランドは流れを掴むことが出来なかったということだろう。イングランドは終了何分か前にレノンを下げてDFのキャラガーを出したしね。レノンの突破は貴重な武器となってただけに、あの段階で代えるのは理解できん。


  • フランス
    組織の中にジダンやアンリが巧く適合出来ていなかったが、ブラジル戦はジダンがフィット。アンリはいまひとつな感じだったので、ここが課題。ただ、守備に関してはかなり固くなっていると思う。ビエラマケレレのコンビも強く、中盤を含めた守備ブロックはそう簡単に崩れなさそう。ただ、監督の采配は効果的には思えず、どこかで珍采配をしそうで怖い。

    *1:先入観もあって退場にしてしまう危険性がある

    *2:CBの主軸アンドラーデは怪我で大会を欠場

    *3:今までよりは動きがあってそこまで引き篭もってたわけじゃないけど